琵琶湖と魚Fish in Lake Biwa

えりでよく獲れる魚
特徴
  • 琵琶湖にはヤマトゴイとマゴイの2種類がいますが、南湖で漁獲されるコイは主にヤマトゴイです。マゴイは主に北湖で獲れます。
  • ヤマトゴイは体高が高く、元々飼育(養殖)されていたものが放流され、環境に適応したと考えられています。
漁業
  • 当組合では、魞漁業を始めた当時からヤマトゴイが漁獲されています。
  • 約40年前、長野県から稚魚を購入養殖し、奈良県に釣堀用として販売していました。釣堀用は大型のコイが好まれました。
  • 春から夏にかけて魞に入りますが、5月に最も多く漁獲されます。
  • 産卵のために岸に寄ってきた際に魞に入ると考えられています。
  • サイズは5から10kgが多く、まれに20kgを超える大物が漁獲されることもあります。
食文化
  • 春先に卵を持ったヤマトゴイが最も美味しいです。
  • 洗い、こいこく、煮つけ等、様々な料理に使われます。
  • 1kg程度が最も美味しいです。洗いは酢味噌で食べます。
ヤマトゴイ 大和鯉
ニゴロブナ 似五郎鮒
特徴
  • ニゴロブナと言えば琵琶湖の伝統料理である鮒寿司の材料です。
  • 漁民の保存食に使われることが多いです。
漁業
  • 4月から6月に魞によく入ります。
  • 昭和20年頃は魞でたくさん獲れたのですが、刺網(3枚網)が使われるようになってから資源が減ってきたと考えられています。
食文化
  • 骨が軟らかいので鮒寿司の原料に向いています。
  • 300から500g程度の卵を抱えているメスのニゴロブナが最も美味しいです。それ以上のサイズになると骨が硬くなり食べにくくなります。
  • 鮒寿司は、つくる漁師さんによって味が様々です。これも伝統食の楽しみ方の一つです。
特徴
  • 琵琶湖にはメスの個体しか生息していません。繁殖する時は、他のフナ類の精子を利用します(単為生殖)。受精して卵が育ち始めると、精子の遺伝子は卵の外に出されてしまうため雑種の魚が生まれることはありません。とっても不思議な繁殖様式をもっています。
漁業
  • 4月から6月に魞によく入ります。
  • フナの中では最も漁獲量が多いです。
  • 水温が高い時に獲れたギンブナは、腹部から卵が垂れて出てしまっていることがあり、扱いにくいです。
食文化
  • ゲンゴロウブナと同じく骨が硬いので鮒寿司には向いていません。
  • 洗い、こいこく、煮つけ等、様々な料理に使われます。
  • 洗いにして卵をまぶして食べることが最も多いです。
ギンブナ(ヒワラ) 銀鮒
ゲンゴロウブナ 源五郎鮒
特徴
  • ヘラブナとも呼ばれ釣りの対象魚となっています。
  • 大型の魚が求められますが、琵琶湖ではなかなか大型が獲れません。
  • 3種のフナの中では眼がぎょろっとしてとても印象的な顔つきをしています。また体の色もきれいな銀色をしています。
漁業
  • 4月から5月の春先に魞に入ります。
  • 琵琶湖で漁獲されるフナの中で最も獲れる数が少なく、年間に5尾程度しか漁獲されません。
  • 種苗生産すれば高く売れるかも?しれません。
食文化
  • 骨が硬く鮒寿司(ふなずし)には向いていません。あまり食用にされることはありません。
特徴
  • アユの稚魚のことで、体は透明でとてもきれいな魚です。
  • 親アユが秋に河川で産卵し、孵化・成長して12月から1月にヒウオになります。
  • 近年、琵琶湖流入河川と琵琶湖の生態系が変わってきており、ヒウオの生息量が減少してきています。
漁業
  • 約50年前に竹魞から網魞(今の魞漁業)に変わってから、沖合にいるヒウオを獲ることができるようになりました。
  • 冬は沿岸は水温が低く、魚が沖合に移動した際に魞に入ると考えられています。
  • 平成5年が最も漁獲量が多く、それ以降減少してきています。
食文化
  • (釜揚げ塩ゆで)にして食べることが多いですが、茹でたホウレンソウと一緒に食べる文化があります。
  • 釜揚げ以外にも佃煮やかき揚げにしても美味しいです。
ヒウオ 氷魚
アユ
特徴
  • 琵琶湖で獲れる魚と言えばコアユです(写真・1枚目)。琵琶湖で最も漁獲量が多く、大変美味しい魚です。
  • 産卵数が少なく、プランクトン等の餌が多い時はオオアユ(写真・2枚目)になりますがめったになりません。
漁業
  • 昭和初期はそれほど漁獲量が多くなかったですが、北湖にアユの人工河川放流が盛んになって漁獲量が増えだしました。アユの需要ができて高級魚になりました。
  • 当組合の魞では年間300から500kg程度漁獲されます。4月後半から7月頃まで漁獲されます。
食文化
  • 佃煮、天ぷら、オイル漬け等どのように調理しても美味しいです。
  • 現在、当組合では新しいコンセプトで「米油」を使ったコアユのオイル漬けを開発しています。
特徴
  • コイ科魚類の中で最も美味しい魚で高級魚です。
  • 骨が軟らかく、素焼きにしてまるごと食べることができます。
  • 早春に獲れるモロコをセリモロコ、春に獲れるモロコは春モロコと呼ばれ卵をもっています。夏に獲れる夏モロコは苦みがありますが、脂がのっていて大変美味しいです。秋に獲れる秋モロコはやせていてあまりおいしくありません。
漁業
  • 4月から6月頃まで魞に入ります。産卵のために網に卵を産み付ける際に魞に入ると考えられています。網に産み付けられた卵が7月頃に孵化して稚魚になります。
  • 漁獲量は、多くて4から5kg程度です。
  • 当組合では、秋モロコを養殖池に入れて給餌し畜養して出荷していました。
食文化
  • 素焼き、佃煮、南蛮漬け、天ぷらにして食べます。
  • セリモロコは脂がのっていないので南蛮漬けにすると美味しいです。
  • 夏の脂がのった夏モロコは佃煮にすると美味しいです。
ホンモロコ 本諸子
スゴモロコ・
デメモロコ
特徴
  • 琵琶湖ではホンモロコに次いで食用にされるモロコです。
漁業
  • 魞で獲れるスゴモロコは脂がのっていないため美味しくないです。
  • 5月頃に刺網で獲られるスゴモロコは脂がのっていて美味しいです。
  • 子持ちの魚は、刺網から外す際に、無理やり網から外そうとすると卵が出てしまうので、総排泄腔(肛門)を押さえて卵が出ないように工夫します。
食文化
  • 頭部が固く、姿で食べた際に口に残ります。
  • 素焼き、佃煮にして食べます。
特徴
  • 近年、琵琶湖では富栄養化が進みウナギのサイズが大きくなってきています。ウナギは通常300g程度ですが、大きいものだと1.5kg程度になります。
  • 琵琶湖では外来魚を駆除するためにウナギの稚魚を放流しています。
漁業
  • 魞では外来魚の稚魚が多く入る時にウナギが多く入る傾向があります。
  • 強風等で湖が荒れた後に魞に入る傾向があります。水温が上がるにつれて魞に良く入ります。4月中頃から8月後半頃まで獲れます。
食文化
  • かば焼きやすき焼きにして食べます。
  • サイズが大きく油がのっているため十分に油を落とす必要があります。若い人ならそのままいけるかも?しれません。
ウナギ
ニゴイ 似鯉
特徴
  • 滋賀県琵琶湖では、“マジカ” と呼ばれます。
  • 「磯の間近(まじか)の京知らず」と言われ、鮮度落ちが早かったため、たくさん獲れるが京都までも出荷されなかったと言われています。
漁業
  • 琵琶湖では春から秋にかけて魞に入ります。
  • 6月頃に産卵のために川によくのぼります。
食文化
  • 小骨が多いですが、ひと手間かければ上品な白身になるため、最近新たな食材として期待されています。
  • 当組合では、ニゴイの蒲鉾を開発・生産しています(写真・2枚目)。
    パンフレット (PDF 3.1MB)
  • また「洋風ニゴイペースト」も試験的に製造しています。
特徴
  • 成魚のハスは、歌舞伎役者のような顔をしているのが特徴的です。
  • ハスの仔(ハスゴ)は体色が銀色でとてもきれいな魚です。
  • ハスゴは、オイカワの幼魚と見分けがつきにくいです。
漁業
  • アユが多く獲れる時はハスが少なく、アユが少ない時はハスが多くとれます。
  • ハスゴは11月から12月にかけて魞に入ります。ヒウオ漁の時期と重なりますが、魞で獲れた際に船の水槽で酸素濃度を上げると、ハスがジャンプしますので選別することができます。
食文化
  • アユより美味しさは劣りますが、佃煮にした際に苦みがないので食べやすいです。
  • 身がしまっているのでハス寿司にできます。塩焼きにしても美味しいです。
  • 値段が安く消費しやすいです。
ハス
ゼゼラ
特徴
  • 琵琶湖周辺では、「エンドス」と呼ばれており、省略されて「ドス」と呼ばれることがあります。
漁業
  • ゼゼラ専用の網丈30cm程度の刺網にかかります。
  • 平成5から6年頃は、魞に20から30kg程度入っていましたが、近年はほとんど入ることはありません。底生の環境が悪化して、生息場所が変わってきている可能性があります。
食文化
  • 佃煮にすると頭部が落ちるため、縁起の悪い魚と言われています。鮮度が良ければ頭落ちしません。
特徴
  • 水中では透明感がありとてもきれいです。
漁業
  • 当組合の魞では、現代の網魞になってから獲れるようになりました。
  • 魞では多い時で5kg程度獲れたこともありますが、最近は多く獲れても1kg程度です。外来魚が増えたことにより、スジエビの漁獲量は減っています。
食文化
  • 佃煮、かき揚げにして食べます。
  • 伝統食として「えび豆」の材料に使われます。
スジエビ 筋蝦
テナガエビ 手長蝦
特徴
  • その名のとおり手が長く、「手が伸びる」ことから縁起の良い食材です。
  • 琵琶湖全域に生息しますが、北湖と南湖ではサイズが異なります。南湖で獲れるテナガエビは小型です。
漁業
  • 当組合の魞では一年中入りますが、多く獲れても1kg程度です。
食文化
  • かき揚げ、佃煮、素揚げにして食べます。佃煮にする際は、触角を取り除くことで食べやすくなります。琵琶湖に生息するエビの中では最も美味しいと言われています。
えりでまれに獲れる魚
特徴
  • 主に北湖を生息場所としていますが、南湖でも一時期を過ごす個体がいます。
  • 春先(3月末頃)に大宮川で放流された稚魚が5月から6月にかけて、魞に入ったことがあります(写真・1枚目)。南湖は6月をこえると水温が一気に上昇するため北湖に移動すると考えられています。
漁業
  • 南湖では婚姻色が出た成魚が、遡上するための川を探している際に岸に近い魞に入ることがあります(写真・2枚目)。7、8、9月は水温が高い為、南湖ではビワマスを狙って漁業を行うほど獲れません。
食文化
  • 婚姻色が出たビワマスは、燻製(冷燻)にするととても美味しいです。ビワマス独特の旨味があり、お酒の友として最高です。
  • 当組合では試験製造を行っています(写真・3枚目)。
ビワマス 琵琶鱒
ウツセミカジカ 空蝉鰍
特徴
  • 砂礫を好む魚です。
漁業
  • 流れが緩い時に、魞に入ることがあります。また、川の近くに位置する魞に入る傾向があります。
食文化
  • まとまった漁獲がないので、食用にはなりません。
特徴
  • 琵琶湖の中で最も大きくなる魚です。
  • 主に北湖に生息すると考えられていますが、南湖でも確認されることがあります。北湖北部と南湖南部では、異なる個体群が存在すると言われています。
漁業
  • 当組合では、一年に一尾入るかどうかです。
  • 写真のビワコオオナマズは全長95cm程度ありました。
食文化
  • 湖北(菅浦)で刺身で食べました。
ビワコオオナマズ 琵琶湖大鯰
カワムツ 川鯥
特徴
  • とても体色がきれいな魚です。泳いでいるところを上から見てもわかりませんが、横から見るととてもきれいです。
  • 川に生息するため、琵琶湖では漁師でもめったに見かけることはありません。
漁業
  • 魞に入ることはめったにありません。
食文化
  • 昔から食用として食べることはありません。今でも食料資源としての流通はありません。
特徴
  • きれいで冷たい水を好みます。
漁業
  • 2017年の冬に当組合の魞に入りました。30年間、漁業をしていますが初めてのことです。
食文化
  • 食用にはなりません。
イトヨ
えりに入る外来種
特徴
  • 中国を原産とする魚で、アジア大陸東部からベトナムまで分布します。
  • 日本では霞ヶ浦(茨城県)で大繁殖しています。琵琶湖では大繁殖していません。
  • 鰓耙(さいは)と呼ばれる器官で動物プランクトンを濾し取って食べます。ハクレンは鰓耙が発達しています。在来魚を捕食することはありませんが、動物プランクトンの分布量が変わることで、在来魚の餌のバランスが崩れる恐れがあります。
漁業
  • 2009年8月に当組合の魞に入りました。体長80cm程度ありました。
ハクレン
タイガーシャベルノーズ
キャットフィッシュ
特徴
  • アマゾン川水系を中心に南米の熱帯域の河川に広く分布します。
  • 日本では、観賞魚として飼育されています。
  • 琵琶湖では大繁殖していません。
漁業
  • 2011月9月に当組合の魞に入りました。体長50cm程度ありました。